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    子どもの脳の第一人者が語る、発達障害の子どもが幸せに育つために大切なこと

    子どもの脳の第一人者が語る、
    発達障害の子どもが
    幸せに育つために大切なこと

    Written by Ys and Partners

     自分の子どもが発達障害かもしれないと言われたら、なかなか受け入れられない親は多い?!袱胜激Δ沥巫婴??」「何が悪かったのか?」と、自責の念を感じてしまう親もいると言う。

     しかし、発達障害ということが分かったのは、ある意味では幸せなことかもしれない。なぜなら、発達障害ということを親にも周囲にも理解されないまま大人になっていくことの方が、子どもにとっては不幸になりやすいからだ。

    増え続ける発達障害

     「潛在的な層を含めれば、少なく見積もっても國內に100萬人以上はいます」。そう語るのは、金沢大學子どものこころの発達研究センターの菊知充教授だ。

     実際に、発達障害の患者數はここ數年増え続けている。また、「大人の発達障害」という言葉が話題になったように、発達障害と気づかれないまま成長し、大人になるまでそれと分からないようなケースも多い。

     ここまで発達障害が増えた理由としては、2013年に発達障害の基準が拡大され、対象となる癥狀が増えたことが大きい。とはいえ、學校の現場からも、実際に増えてきているという聲もあるようで、小児の約1割が発達障害の特徴を示しているというデータもある

    畫像:今回のインタビューに応じてくださった、金沢大學 菊知充教授

    今回のインタビューに応じてくださった、金沢大學 菊知充教授

    求められる早期発見と、その課題

     「発達障害でまず大事なことは、スティグマ(=差別、劣等感)を無くすことです」と菊知教授は語る。

     発達障害と聞くと、周囲の手厚いケアなしでは生活できないと思われることも多い。しかし、本當にケアが必要な人は、実際はほんの一握りしかいないそうだ。それ以外の人は、健常者とほとんど同じように生活ができる。ただし、子どもが育つ環境がミスマッチだと、特別なケアが必要になってしまう。

     ミスマッチを起こさないためには、発達障害の早期発見が大事である。しかし、現在の醫療技術では、この早期発見にはまだ大きな課題がある。発達障害は明確な原因があるわけではないので、癥狀から診斷するしかない。

     例えば子どもには、1.6歳児健診や3歳児健診といった、全員を対象として発達障害を診斷できる絶好の機會がある。しかし、現在の発達障害の診斷としては、問診票による手法を取っている。

     親が子どもの行動や態度についての質問に回答し、その結果をもとに醫者が判斷するため、どうしても正確さに欠けてしまう。実際に、1.6歳児健診での診斷結果が、3歳児健診の段階で覆るようなケースもあるようだ。

    小児用MEGの登場

     現在まだ世界に3臺しかない小児用MEGという裝置の1つが、日本の金沢にある。金沢工業大學と金沢大學とリコーグループとで開発されたものだ。

     発達障害は脳の障害なので、脳の動きを解明することが必要だ。これまでに、MRIやPETといった脳を解析する裝置は存在していたが、子どもへの放射線の利用や、検査に長時間かかるなど、幼児に対して適用するには難しさがあった。

     一方でMEGは、脳から発生するわずかな磁場の変化を捉えて、脳の動きを分析する技術である。そのため完全に非襲性であり、身體に害を一切與えることなく検査ができる。さらにこの小児用MEGは、母親のそばで検査することもでき、その上検査にかかる時間も短いため、子どもにとって非常に優しい検査方法となっている。

    畫像:現在まだ世界に3臺しかない 小児用MEG

    現在まだ世界に3臺しかない 小児用MEG

    発達障害を「特異」から「得意」へ

     金沢大學では、発達障害を「特異」から「得意」へ、というキャッチフレーズを掲げ、自閉癥の子どもの社會性向上を目指した取り組みを進めている。その中核として、小児用MEGを使った、他に類を見ない世界最新の研究を進めている。その研究結果として、発達障害の子どもの脳の仕組みについて、世界初の新しい事実をいくつか発表している。

     例えば、健常な子どもと自閉癥の子どもでは、脳の左右の発達の仕方に違いがあることが分かっている。健常な子どもの場合、言語の発達と対応するように、左の聴覚野が発達する。しかし自閉癥の子どもの場合は、この左脳の発達が遅れてしまい、言語の発達が遅れる場合もあるのだ。一方で、視覚は健常な子どもよりも優れている自閉癥の子どももいる。

    畫像:小児用MEGで読み取ったデータをモニターで解析

    小児用MEGで読み取ったデータをモニターで解析

    「うちの子は、ちゃんと普通になっていくのでしょうか?」

     小児用MEGによって、先に挙げたような発達障害による脳の動きや育ち方の違いが、目に見えて分かるようになると、発達障害の診斷がより正確にできるようになる。これまで人の目に頼るしかなかった診斷に、客観的なデータで補助できることのメリットは大きい。

     「親にとっても、目に見えるようになることで、発達障害が自分の育て方のせいではなく、脳の癥狀であると正しい理解がしやすくなります」。実際に小児用MEGを使った診斷研究も行う菊知教授は、そのメリットの大きさを指摘する。

     親から最初に聞かれる質問は、「うちの子はちゃんと普通になっていくのか?」が多いそうだ。実際、脳の特徴は、大人になって軽くなることはあっても、殘り続ける。

     「治る、治らないという話ではないんです。脳の『個性』として、その子『らしさ』として、勇気を持って受け入れてほしいです」。

    発達障害の子どもが、幸せに育つために大切なこと

    発達障害を抱えながら、社會的に成功を収めている人も多い。有名なハリウッドスターや映畫監督、ノーベル賞受賞者や世界的企業の創設者にも、発達障害を持っていたと言われている人がいる。他にも研究者や実業家など、1つのことに集中できるという個性は、何かで突出できる可能性を秘めている。

     「みんな同じ、という考え方はもう昔の話。もっと一人ひとりの個性を伸ばすような教育になるべきです。できないことを叱るのではなく、人の役に立てていることをぜひ伝えてあげてください。一番大事なことは、子どもが『自己肯定感』を持てることなのです。自分の得意なことを、楽しく學んで伸ばしていけるように」。

     発達障害者が社會に適合できないことによる社會的損失は、日本で年間數兆円とも言われている。菊知教授が願うように発達障害の子どもが育ち、社會の理解がすすむことで適合できるようになっていけば、この損失は今後プラスにもなりうる。少子高齢化が進む日本において、その効果は計り知れない。

     子どもの診斷のために菊知教授の元を訪れた親たちが、何より驚き、そして安心すること。それは、この金沢の地で、子どもの発達障害についての研究を、みんなが現在進行形で進めているということだと言う。

     「今はまだ、脳で何が起こっているかまでしか分かっていません。次は、効果のあるトレーニング方法なども見つけていきたいです」。小児用MEGを使った研究成果は、発達障害の子どもを持つ親にとって、大きな希望である。

    Written by Ys and Partners

    畫像:脳の「個性」を「見える化」する

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