ニュースリリース
株式會社リコー(社長執行役員:山下 良則、以下リコー)は、人工知能(AI)の學習方法である機械學習において、近年注目されている手法のGradient Boosting Decision Tree(GBDT:勾配ブースティング決定木)モデルの學習を大幅に高速化?低消費電力化する回路アーキテクチャを開発しました。
GBDTモデルの學習が可能な回路アーキテクチャを開発
この回路アーキテクチャを、Field-Programmable Gate Array(FPGA:設計者がプログラムによって設定を変更できる集積回路)上に実裝して性能を比較したところ、CPU/GPUを用いた一般的なソフトウェアライブラリ(XGBoost (extreme gradient boosting)、LightGBM、CatBoost)と比べて、26~259倍の學習高速化を実現しました。従來よりも短時間でのGBDTモデルの學習?更新が可能となります。また、學習時の消費電力も小さく、モデル學習の電力効率は、GPU/CPUと比較して90~1,105倍となりました。この低消費電力という特徴により、エッジコンピューティングへも活用を拡げられると考えています。また、學習したモデルの予測精度においても、これらのソフトウェアライブラリにより學習したモデルと同等であることを確認しました。
GBDTは、データベースなどで構造化された大量データの學習に高い性能を発揮します。応用先として、オンライン広告のリアルタイムビディング(Real-Time Bidding)、Eコマースでのリコメンデーションなどのweb分野、コンピューターによる株式の高頻度取引(High Frequency Trading)などの金融分野、サイバー攻撃の検出などのセキュリティ分野、ロボティクスなどが考えられ、リコーが開発した回路アーキテクチャによる高速學習は、これらの応用先に今後貢獻するものと見込まれます。また、近年注目を浴びているIoT (Internet of Things)デバイスを始めとする各種エッジデバイスにおいても、その高い電力効率を活かして、高度なモデルの學習が可能となります。
研究開発本部 リコーICT研究所の研究グループは、本技術の研究成果を米國コーネル大學が運営する世界的な論文投稿サイトarXiv.orgで発表いたしました。(https://arxiv.org/abs/1812.08295)
リコーは、お客さまへの提供価値をEMPOWERING DIGITAL WORKPLACESと定め、これまで培ってきた経験に新たなアイデアや技術を融合させ、更なるイノベーションの創出に挑戦しています。昨年にはAI開発に関する専任組織「AI応用研究センター」を設立して、AIの製品への搭載や、社內の業務改革への適用などに取り組んでいます。進化の速いAI技術分野では、自社のみですべての技術を用意するのではなく、パートナーとの連攜が必須となります。リコーは、獨自性のある高度な技術開発を進め、先進的なパートナーとの協業を加速させることで、世界トップレベルの技術を開発することを目指しており、今回の回路アーキテクチャ開発もその一環となります。
本技術は、複寫機や光學製品で培った回路設計の技を活かしたものです。高速なGBDTモデル學習が可能な回路アーキテクチャを開発しました。これからもメーカーとして培った技術と、最先端のAI技術を融合させ、新たな価値を創造してお客様に貢獻していきます。
リコーグループは、オフィス向け畫像機器を中心とした製品とサービス?ソリューション、プロダクションプリンティング、産業用製品、デジタルカメラなどを世界約200の國と地域で提供しています。(2018年3月期リコーグループ連結売上は2兆633億円)。
創業以來80年以上にわたり、高い技術力、際立った顧客サービスの提供と、持続可能な社會にむけて積極的な取り組みを行っています。
EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES - 人々の"はたらく"をよりスマートに。リコーグループは、さまざまなワークプレイスの変革をテクノロジーとサービスのイノベーションでお客様とともに実現します。
詳しい情報は、こちらをご覧ください。
http://www.umuhinzi.com/
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