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    紫外線(UV)硬化型インクジェットインク

    これまで、一般的なUV硬化型インクジェットインクでは難しいとされてきた、アクリル基材への十分な密著性に加え、高い色再現性が得られるUV硬化型インクジェットインク「RICOH Pro UV Ink DG130」を開発しました。省エネルギーと長壽命が特徴である「UV-LED光源」に適応したインクです。

    UV硬化型インクジェットインクの用途と課題

    UV硬化型インクジェットインクは、光を照射すると瞬時に強固に硬化することから、強靭さや速乾性が求められる場合のほかに、インクが浸透しにくい基材を使用する場合などに有効であり、明細書やプラスチックカードなどの商業印刷物、看板や電車?バスのラッピング広告などの屋外広告物、建築內裝、家電製品やIT機器などのプラスチック基材への印刷など、われわれの生活に身近なものに幅広く使用されています。しかし、UV硬化の際に発生する硬化収縮と呼ばれる現象により、基材への密著性が低下してしまうという課題を有していました。中でもアクリル基材は高い強度と透明性によりガラス代替材料としての用途も多いものの、UV硬化型インクジェットインクで十分な密著力を得ることは難しい基材とされてきました。

    また、家庭用インクジェットプリンタなどで広く使用される水性インクジェットインクでは、蒸発乾燥によって平滑で光沢感と色再現性の高い畫像が形成できる反面、UVインクジェットインクでは液滴が蒸発せずそのまま硬化するため、印刷畫像は特有の凹凸感のある畫質となることが避けられず、高い色再現性を得ることは難しい課題でした。

    新規開発したUV硬化型インクジェットインクの2つの特徴

    1.畫像の凹凸を大幅に低減することで高い色再現性を発現

    前述のように、水性インクジェットインクでは印刷後のインク液滴は蒸発に伴って體積減少し、結果的に平滑な畫像を形成する可能な反面、UV硬化型インクジェットインクでは液滴の形狀をそのままに硬化してしまうため、凹凸の大きい畫像が形成され、これが畫像表面の光の亂反射を生じることで、濃度や彩度の低下を引き起こしていることが分かりました。この現象はより高濃度な色調表現が必要な領域、すなわちインク量を多く印刷する狀況において顕著でした。そこで、試行錯誤の結果、液滴の濡れ性を向上させることで畫像表面を平滑化できることを発見し、色再現の尺度であるJapan Color(*1)カバー率90%以上という高い色再現性を得ることに成功しました。(図1)

    図1.インク液滴の濡れ性と色再現性の向上

    2.従來は困難だったアクリル基材への密著性を発現

    UV硬化型インクジェットインク主原料となるモノマー成分であるアクリル酸エステル化合物には多種多様な工業品が存在するものの、インクジェットインクとして使用可能な程度に低粘度であり、インクジェットへッドやその他プリントシステムを構成する部材を劣化させないことに加えて、硬化反応性、臭気など、様々な特性を考慮すると、使用可能なものは限定され、現実的には材料選定の自由度はそれほど広くありません。その中でも十分な硬化性や塗膜強度などの塗膜性能を確保しつつ、硬化反応に伴う収縮により発生する塗膜內部応力を大幅に低減する配合処方を見出した結果、日本工業標準規格(JIS K5600-5-6)における評価(*2)で最高ランクの密著性を得ることに成功しました。(図2)

    図2.塗膜內部応力とアクリル基材への密著性

    今回リコーが開発したUV硬化型インクジェットインク「RICOH Pro UV Ink DG130」は、産業用ワイドフォーマットプリンタ「RICOH Pro TF6250」「RICOH Pro T7210」に搭載されており、広告物、建裝材などの大型印刷物製造を行う印刷業者様において、品質向上、生産性向上、コスト削減、業務フローの簡略化などに貢獻できるものと期待しています。


    補足説明

    (*1)Japan Color:
    (一社)日本印刷産業機械工業會において定められた印刷物の色調に関しての基準。従來はオフセット印刷の色調を評価するために用いられてきたが、近年ではデジタル印刷においても同様の基準が多く採用されている。

    (*2)日本工業標準規格(JIS K5600-5-6):
    硬化乾燥済みのインク層に対して、基材にまで達するようにカッターで切り込みをいれて碁盤目狀のマス目を作り、その上から粘著テープを貼って勢いよくはがし、作成したマス目のうち粘著テープ側に移行せず基材上に殘存した塗膜狀態を段階見本と照らし合わせて評価する試験方法。ほとんど剝離がみられない良好な狀態から、大部分が剝離してしまった劣悪な狀態まで、6段階で評価する。

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